実験4号が思い返すMOK Radio(3)

満を持して「邦楽が普通にかけられるネットラジオをやろう!」ってトコを目指すことにしたんですよね。「邦楽ネットラジオ最強への道」なんて大それたタイトルをつけて、進捗状況を発表したりしてました。津田さんが言ってたのが「矢沢永吉が流せたら思い残すことはない」……だったっけな? 長渕剛だったかな? そんな冗談も言いながら。ところがそれがあっさり突破できちゃうんですよね。動き始めて2ヵ月後にはTHE BOOMの曲を流すことができた。結局、JASRACへはストリーム配信ということで個人の非商用であれば1万円払うだけで済むわけです。問題は著作隣接権の問題で、著作権処理はJASRACが肩代わりしてくれるけど、著作隣接権処理を代行してくれる業者が日本にはない、っていうのが一番のハードルなんですよね(アメリカにはある)。原盤権を所持する権利者にひとつひとつ当たって、ネットラジオで流しても良いよという許可をもらって来なければならない。JASRACから見れば「著作権の面はうちでやれるからいいけど、著作隣接権の処理が大変だよ? 普通そんな面倒なことする個人、居やしないんだから」って感じだったんでしょうね。
ところがさすが個人音楽ニュースサイト最大手ミュージックマシーン(の管理人のタクヤさん)。人脈が凄いですもんね。たくさんのレーベルから「JASRAC登録してるならうちのCDの曲、流して良いよ!」っておっしゃっていただいて。動いてみたらあっさり、目標のうち半分くらいはクリアしちゃったという。もちろん、タクヤさんと津田さんのおかげであって、俺はひたすら感嘆のため息をついてただけなんですけどね。
「論破ルーム」ってコーナーが自分ら的にもかなり面白くて。それも俺と津田さんの対決がね。基本的に俺の議論はストロングスタイルで、自分に都合の悪い部分であっても割愛せずに律儀に説明するタイプなのですが、そのせいで良く敗北してました。論旨としては、理屈としては俺のほうが常に優れていたはずなのに!! っつったって、議題自体が「おやじとおじや、無人島に持っていくならどっち?」とか全く下らない命題だったりするわけですが。無理な理屈でぶつかる感じは、結構喜んでもらえてたと思うんですけど、どうかなぁ?
レコード輸入権の問題が盛り上がったり、CCCDの話題もさらに紛糾したり、そういう真面目な話と論破ルームみたいなコーナーとが混在してるのがMOK Radioの魅力だったんですよね。それぞれのコーナーがテンション高く終わった時はやっぱり充実してたし、放送終了後の「今日はなかなか良かったんじゃないのぉ?」なんつー自画自賛も激しかったし(笑)、打ち上げでの酒も美味しかったですね。誤解を恐れずに言えば、リスナーの皆さんと共有する「知的な遊び」を目いっぱい楽しんでいる感覚でした。
夏になるとフェスシーズンになってしまい、週末のラジオが成立せずお休み期間になっちゃうんですよね。母さんの164さんがゲストの時も楽しかったな。2004年の春から夏のことです。