THE MANZAI 2011を観た

http://www.themanzai.com/
ここ数年M-1グランプリをリアルタイムで観ながら更新してきたんですが、今年は録画して観る方式に変更しました。最大の理由は「4時間は長い」ってことなんですが、一生懸命更新しながら観るより、録画したものをまるっと観る方が楽しかったです(笑)。以下、一応忘れないうちに感想を。

囲碁将棋

知ったような口をきいて申し訳ないのですが、やっぱり魑魅魍魎の集まる大会で、こういう芸風の人が優勝まで行くってのは難しいかなと思いました。根建さんのつっこむ声がキャイーン天野そっくり。

チキチキジョニー

俺はこういうのは毒舌ではなくて悪口だと思います。この人たちが売れて、悪口言った対象の人たちと競演した時に、他のお笑いの人からやいのやいの言われてペコペコ謝ったり一切しなかったら、その時に俺が謝りたいです。悪口の内容以外で笑えなかった。

ナイツ

やっぱすげえ。何度も観たことあるネタなのにやっぱりすげえ。手数の多さが話題になってて、こういう大会では手数が多い方が有利ってわかってるのに、それをやってくる漫才師は少ない。「てめえらの芸風でトップを取る」ってのにこだわるのはかまわないけど、絶対的に有利ってわかってる戦法(この場合「手数」)を一部的にでも取り入れるってことをしないで、ただマイウェイを貫くってのいうのは、まあかまわないし美しいけど、やっぱり優勝からは遠ざかるよねと思います。昔に比べて現在は情報の速さ濃さが求められてて、大会みたいな場ではそれが顕著。でもそれはやりたくない、自分らを曲げずに優勝もしたいってのは、まあ気の遠くなる話だなぁと思います。芸風がどうであろうと部分的にでも手数を重ねて「息吸えなくなるくらい笑った!」って印象を持たせる努力をした方がいいコンビは多い……とナイツのネタを観て思いました。決勝トーナメントのネタは、なんつーか「2010年に求められてる最大レベルの不謹慎さ」でしたね。去年のIPPONグランプリにおける有吉の「今でも野球賭博やってる」を思い出しました。ダウンタウンがごっつをやってる頃って、いかに気違いをお茶の間にさらすかっていう「不謹慎さの挑戦」だったと思いますが、気づいてみると2011年、テレビで不謹慎なことを言う人は本当に少ない。塙さんはのりPの前でも「ヒロイン」ぐらいは言いそうで怖い。

磁石

優勝候補だと思ってたんですがナイツに屈した、って感じでしょうか。全然悪くなかったと思います。こういう晴れ舞台で「ちょうど?」を期待してしまった俺がいる。

Hi-Hi

上田さんのテキトーっぷりがあべこうじそっくり。ネタの展開にブラックマヨネーズアンタッチャブルにそっくりな点もたくさんあって、良いところ吸収して自分たちのものにして、練習し尽して来てるんだろうな、って感じました。面白かったです。決勝トーナメントの最中の「お前の18年間を放り込んで来い」の時って、岩崎さんが飛んでただけ、のように見えたんですが……。いずれにせよ、M-1で言うところの「今年の準優勝枠」ってやつで、来年はそれなりに仕事が増えるんじゃないでしょうか。

テンダラー

あのテンドンが刺さった人には高評価だろうし、刺さらなかった人は置いてきぼり……ってまあ当たり前なんですけど。正直、形式としては古いなと思いました。

スリムクラブ

去年の衝撃に比べるとちょっとわかりやすくなってるし、間の取り方もこっちが心配するほどは空けなくなってました。これで2012年、カルト宗教によるテロ事件とか起こってしまうと、2010年に「この世で一番強いものは放射能」と言ったのとセットにして、真栄田さんが平成の預言者みたいになっちゃうなぁとか思いました。あ、来年ナイツがテレビ業界を席巻してもそれはテロではありません。当たり前。

ハマカーン

いつも通りだったような気がするし、こういう大会に出てきてスポットが当たったら飛び出すような気がしてて、優勝候補と思ってたんですが、イマイチでしたね……。何がいけなかったのかわからない。

学天即

晴れ舞台の場に持ってくるネタじゃなかったかな、と思います。

博多華丸・大吉

実は俺が今回もっとも笑ったネタでした。華丸さんのあの表情と絶妙のタイミングの「かんぱーい」に息が吸えないほど笑った! 今回のベストアクトです。「かんぱーい」直前までのグダグダ感と「今?」ってタイミングが本当に最高でした。THE MANZAIが続くなら、二人みたいな中堅〜ベテランに決勝の舞台に上がって欲しい。冠番組持ってるようなベテランが下から挑戦して決勝に出てきたら、素直にかっこいいもの。「俺たちの本領はバラエティのMCではなく、ネタ」とか言って年数回のソロ公演+DVD販売にもっとも力を入れてますみたいなスタンスの芸人には、こういう他流試合にチャレンジして欲しいですね。

アルコ&ピース

本当にこのネタで優勝できると思ったのかな? 歌ネタはM-1でも常に不発だったのわかってるはずだし、他のこといっぱいできるふたりなのに。「ネットで叩かれるんだよ」って言ってたけど、叩かれるレベルに言ってなかったと思います。テンポも悪かった。

パンクブーブー

最初のネタはM-1で散々やってるパターン……なんて名前で呼ばれてるのかわかりませんが、観客の頭に浮かんでる常套句をことごとくはずそうとするパターン……から、もう一歩踏み込んだネタでしたね。俺的には博多華丸・大吉の方が面白かった。決勝トーナメントでのネタは、(たぶん)昔からがやってた(たぶん)彼らにとっての最も完成しつくしたネタで、それが最高に面白かった! 観終わった後、超レベルの高かった決勝トーナメントにおいても彼らが優勝だと素直に思いましたよ。

エルシャラカーニ

たまたま俺が、何度も何度も観たネタだったため新鮮さに欠けて笑えませんでした。当初は「本当に馬鹿の人なんじゃないか」と思ってみてましたが、本当によく練習して出てきてるって印象です。

千鳥

ハスに構えず、もっとも一般人に笑ってもらえるネタを選んできたなぁと素直に嬉しくなりました。大悟さんの「俺ってかしこいでしょ(ついてこられる奴だけついてこい)」的な印象の全くない、俺らみたいな一般人に笑ってもらえるところまで自分を下げて、へりくだることができたネタだったと思います。素直に面白かった。岡村の言うとおり、決勝トーナメントでは完全にハクベイを待ってました(笑)。

ウーマンラッシュアワー

早口で圧倒するっていう方法はあると思うんですが、それって「聞き取れた」と「納得(面白い!)」までに時間がかからないジャンルのネタに限定すると思うんですよね。俺の頭の回転の問題かと思うんですが、やっぱり早口を理解するのに気をとられてしまって、理解したものが「まあ、あるある」的な自分の経験に裏打ちして納得レベルの面白さだと、「追いついた→納得」で終わっちゃうんだなぁと思いました。

銀シャリ

面白かったけど、歌ネタはどうしても間延びしますね。あのネタで「爆笑に次ぐ爆笑、そんで優勝」は無理でしょ。去年のカナリア……もったいなかったなぁ……。


正直なところ、昨年一昨年ぐらいのM-1グランプリよりも全然面白かった。決勝トーナメント4本のレベルの高さは間違いなかったと思います。審査員については「ああ、松本の代わりのつもりで高須を呼んだのかな?」とか「この人は吉本一色ってイメージを払拭させる為に呼ばれた人かな」とか考えることもありましたが、人選としてはイヤじゃなかったです。国民ワラテンって方式もすごく良かったと思う(俺は録画で観てたんでやりませんでしたが)。プロデューサーの片岡飛鳥らしい「めちゃイケ的生放送の展開」は正直またかよと思ったものの、全体に水をかけるというほどでもなかった。個人的には紳助が大嫌いだったので、ネタが終わるたびに番組全体が「紳助さんは何ておっしゃるんだろう?」って確認する作りになってなくて、それも物凄く良かった。引退してくれて良かった。総じて大満足の、笑って笑って過ごした4時間でした。面白かったです。
もちろん来年以降も続きますよね? 楽しみにしています。あと、パンクブーブー冠番組は普通のふわっとしたバラエティ番組をやっても評価されないと思うので、今売れてる漫才師のネタを死ぬほど突き詰めるみたいなストイックな番組をやったらどうかと思いました。