THE MANZAI 2013を観た

http://www.themanzai.com/

録画して後から観るのを楽しみにしていたんですが、21時過ぎに母親からdocomoのキャリアメールが届きまして、そのメール件名と本部冒頭が「マンザイみてる? ノンスタイルが一番」だったんですよ。開封せずともスマホの壁紙にそうやって表示されちゃってて。わ、ノンスタイル優勝かよ! こちとら優勝者が誰か楽しみにしてるのに! なんで結果をメールしてくるんだよ! とブチ切れてしまいまして、「録画で見るの楽しみにしてるのになんでわざわざ結果書いてメールしてくるんだよ!」と電話したところ、まだ優勝は決まってないよと言われ、その上で自分の好きなノンスタイルについてまだしゃべりたい母親の発言を制止し、その後はなごやかに別の話をして電話を終えるという一幕がありました。結果的に没交渉になりがちな母親との会話が得られてよかったです。

それはさておき、一応感想を。観終わってかなり時間が経ってるんですが、自分が数年後に読み返す時用にメモを残すつもりで書きます。

レイザーラモンは、既にテレビで人気者のふたりが、あえて今漫才に挑戦したというストーリーが重要なんだな、と思いました。面白くなくはなかったけど、緊張もしてたし、学生漫才っぽかったかな。

チーモンチョーチュウは3文字ゲーム漫才より全然面白かったですね。超超オーソドックスなボケツッコミもありつつラストで世界観がズレるところなんかは良かった。コント的でありつつコントでは表現できないところが面白いなと思いました。

オジンオズボーンは、高松さんが篠宮さんより先にボケを返すという「変則ダブルボケ」という技でTHE MANZAIに立ち向かったわけですが、結局決勝トーナメント進出には至らなかったですね。高松さんの滑舌の問題も少しあったように思います。この「変則ダブルボケ」って、相当最後の手段っぽい気がするので、篠宮さんのダジャレ漫才ももしかしたらここで一区切りかもしれませんね。

千鳥は結局決勝に残ったわけですけど、1本目のネタは会場の盛り上がりももう一つだったかな?

学天即は思いのほかオーソドックスな漫才をするんだな、と思いました。普通に面白かったですけど、それだけだったかな。

風藤松原のネタって、実は文字だけでも成立しちゃうような、ハガキ職人のハガキのネタみたいだった気がしたのは俺だけかしら。もちろん最後の方で伏線の回収とかはあるわけですけど。いやー、やっぱりあのテンポで聴いてるからこそ面白いのかも?

銀シャリは腹を抱えて、息ができなくなるほど笑いました。正直ずっと彼らが苦手で、笑ったことなかったんですけど今回は詰め込んでくる感じが最高によかった。テンポとかリズムとかが俺の笑いにたまたまあってたのかもしれない。とにかく面白かったです。決勝に残れず残念。

ウーマンラッシュアワーってやっぱり漫談ですよね……。早口にも慣れて聞き逃さなくなれたので(俺の耳が追いつくようになったので)よかったです。

天竺鼠は最高に面白いんだけど、やっぱり「会場を笑わせること」よりも「(自分たちが)面白い笑いをやること」を優先してますよね。もっとおどけて、一般大衆に媚びられるようになったら優勝できる気がします。千鳥が昔そうだった気がするので。千鳥まだ優勝してないけど。

NON STYLE天竺鼠のまったく逆で、一個一個の笑いが自分たちにとっての磨き抜かれたセンスたっぷりの笑いでなくても、とにかく全体を通じて笑い続けられるように、テンポよく数を詰め込んでるんですよね。しかも「揺れる」みたいな記憶に残れるギャグも入れてきてて過去を超えようとしてきてる。国民ワラテンが99点になるのもよくわかります。彼らがあの形式でやり続ける限り、そして同じ方式でカウントする限り、国民ワラテンは何度でもNON STYLEが獲得できるんじゃないかしら。ナイツやサンドウィッチマンでもここまで詰め込むのは無理でしょう。彼らが一番THE MANZAIを研究し尽くしてると思います。

東京ダイナマイトが最っ高に面白かった。今回一番笑ったと思う。一昨年のナイツが酒井法子をネタにしたよりも、もっと踏み込んだ業界ギリギリネタ(みのもんたネタ)だったわけですが、あのメンバーの中ではその役ができるのは彼らだけだったと思うし、むしろ業界ギリギリネタなんて忘れちゃうぐらい全編にわたって面白かった。息がつけなくて苦しかった。俺の中では東京ダイナマイトが優勝でした。

流れ星はまずワイルドカードで這い上がった時点でもう、「来年売れた」な気がしました。漫才に挟み込んでくるギャグも嫌な感じじゃなかった。変な祭囃子も面白かった。ちなみにあれからずっと、俺の頭の中に「〜オリオーン座」のくだりが定期的にリフレインしてます。売れたな流れ星!

決勝は3組とも面白かったけど、俺は千鳥を推します。あのネタ、たまたま録画してた今年9月の「北野演芸館〜たけしが本気で選んだ芸人大集結SP〜」でもやってたネタで、繰り返して5〜6回観ちゃってたネタだったんですね。にもかかわらず全然笑えた。だいたいのネタは「知ってる」ってだけで割り引いちゃうのに、かといって待ってました的なギャグとも違うと思うのに、とにかく「ヘネ」に笑ってしまったし「ヘネ」と言う時の大悟の顔に笑ってしまった。良かったです。

ということでウーマンラッシュアワーの優勝。おめでとうございます。彼らが今後テレビ的にブレイクするかは五分五分かな、と思ってます。やっぱり村本という人の性格の悪さはネタからも言動からもにじみ出てるじゃないですか。テレビのバラエティ番組に呼ばれ続けるのってやっぱり内輪でわいわいの仲良しサークルにちゃんと身を置かせてもらえるかどうかだと思うから。漫才やらせたら日本一って実力だったとしても、常にネタを披露して評価して見比べてもらえるわけじゃないですからね。

国民ワラテンについては、とにかくNON STYLEの方式がベストだってことがわかったわけですから、来年優勝したいと思ってる多くの漫才師の皆さんには一旦これを学んで研究してほしい。あの詰め込み方・あのテンポでやればグラフのてっぺんがずっと続くという状況は作れるし、審査員が全員他の人を選んでも国民ワラテンの1票は獲得できるわけじゃないですか(国民は排他じゃなくてただ笑った数だけクリックしてるだけだから)。優勝したいならとにかく一度取り入れてみてほしい。自分たちの笑いを追求するだけじゃなくて。

審査員が「もっともよかった1組に投票する」っていう方式も、考える余地はありますよね。だって本来、審査員もワラテンボタンをクリックしてもいいわけじゃないですか。その方式だと、自分がどの漫才師にもっとも笑ったか(自分がどの漫才師を推すことになったか)がわからない。お笑いを評価するという観点でトップクラスの人間があの場に並んでて1票を投じるっていうのは、漫才師の未来の一端を左右するわけじゃないですか。だとすると例えば既にトップクラスの人気を誇って毎日テレビで見かける漫才師よりも、日の目をあててやったらどうなるかわからない・見てみたいと思わせちゃう漫才師の方に1票いれるかもしれない。しかもそれって全然悪いことじゃないと俺は思うんです。

まあ、国民ワラテンを含めた審査方法が、本当にベストの方法なのか俺にはわからないけれども、審査方法がかわってもっと「ほんとうの実力者が優勝できる仕組み」が盤石になったとしても、自分が笑ったかどうかとはたぶん別なので、だとしたらもう、ずっと今のままでもいいのかな、と思ってます。

とくにお笑いマニアでもない俺はこうして年末のTHE MANZAIだけを楽しみにしていて、そこでずらりと並んだ漫才のプロたちが、ライバルに負けないために一切手を抜かない磨きぬいたネタを披露してくれるのを楽しみにしてるわけです。だから優勝者はもうどうでもいい。その点で言えば決勝特番に残るのは12組じゃなくて24組くらいでもいいなぁ。審査員の寸評は後で、各人のブログで少しずつ更新してくれればそれでいいので4〜5時間、本気のネタを見尽くしたいですね。

そんな勝手なことを思わせてくれる、最高に楽しい夜でした。ありがとうございました。