選挙なんか行かない、って公言してる人へ贈る言葉

「自分が選挙なんて行ったって意味ない。だから行かない」って人、けっこういるよね。俺の想像する範囲ではぜんぜん意味なくないよ、と思うのでそれを言っておきたい。

選挙に行かないって言ってる理由もいろいろあると思うけどさ。

(1)だって自分が投票したって何も変わらないから

そもそも自分ひとりの行動で、世界が変わることなんてない。あなたが一人で変えられる世界は存在しない。影響もない。選挙にいって1票入れても世界は変わらない。断言できる。でも……よく考えたらそんなもの、どこにもないよね? 世界に影響を与えるようなこと、もともとできないよね、俺ら。だから「自分の影響させられる範囲が小さいから、モチベーションが上がらない」ってのは、今更言うまでもなくみんなに平等じゃん?(一票の格差問題を除く)。今更そこに文句を言っても仕方がないんだよ。別の方法提案できないでしょ? むしろ選挙が有効な国ってことを喜んだ方がいい。
ここで「一人が変わればみんなも変わる!」みたいな夢のある言葉を書いてもいいんだけど、あなたそういうのに感動して「なるほど、俺も変わろう!」とか言うタイプじゃないじゃない? でも「そもそもがそういうものじゃない」って言われたら、「ま、そうだけどね」ってわかってくれるかな、と思って。

(2)自分の限られたリソースを選挙なんかに割きたくない

これは(1)に近い理由かもしれない。「そんなことより、目の前の○○について本気になりたい」という気持ちはわかる。誰にでも優先順位はあるから、他人がどうこう言えるものじゃない。でも、優先順位を下げてもいいけど、無にする(投票しない)ことはないと思うんだよね。期日前投票を含めてタイミングを作る方法もあるしさ。そんなに手間じゃないんだよ、この後に書くけど。

(3)入れたい候補者がいない

それは俺自身もまさに今、直面している問題ではある。実際のところ、情報を受ければ受けるほど、あっちもダメ、こっちもダメという気持ちになってくる。だからさ、俺に関して言えば、その候補者がどんなこと言ってるか、どんな人か、信頼できそうか、って考えるのやめました。時間の無駄だもん。政党だけで評価することにしてします。だって、その人がどんなに素晴らしい言動をしていても、現状の政治だと、党議党略の多数決でしか進まないんだろうな、と思って。だから「まあ現状の日本で悪くない」と思ってる人は与党に投票すればいいし、「変わって欲しい」と思ってる人は野党に入れる、それでいいと思うんだよね。そもそもそんな単純じゃないものに対して単純な方法でしか参加できないんだから。
あと「どうせ入れるなら死に票に入れたくない」みたいなことを言う人もいるけど、まあ、「勝ち馬に投票してやっぱり勝った」ってところに盛り上がりたいなら、それは競馬とか競輪とかでやったらどうかなって思うんだよね……。その場で見返りもあるし。「どうせなら勝ち馬に」っていうのは、選挙の考え方とちょっとあわない気がしてます。

(4)選挙の仕組み自体に疑問がある

「だから行かない」ってのも論理の飛躍があると思うけどね。選挙って、どこに投票するか、投票したか、だけに価値があるわけじゃないってことは知って欲しいんだよね。どこに入れるか決める。自分が投票を決めた理由を自分で確認する。選挙の結果を知る。その選挙で決まった内閣が何をやるのか追っていく。自分が一度選挙に参加すると、その前後に繋がっていくんだよね。で、不謹慎かもしれないけど(いや、はっきり不謹慎だけど)、政治のニュースって面白いんだよ。もちろん俺なんかが知ったり判断したりできる範囲は物凄く限られてるけど、テレビのニュースで聞きかじった情報を、面白がって語ろうとしたら、ほかの分野と比較しても全然面白いと思うんだよね。選挙に行くと、その面白味が増すんです。……ま、実際には職場の仲間に語ったりはしないんだけど。

(5)日本がどうなろうとしったこっちゃない

選挙の話になった途端「どうせ何やってもダメでしょこんな国」みたいなこと言い出すタイプね。でも選挙の話題の時以外は、あーでもないこーでもないって文句言ってみたり、やっぱり○○は素晴らしいってほめてみたり、この国への愛情と執着たっぷりの発言してたりするんだよね。ま、俺もそういう発言してるタイミングで「ほら、この国好きなんじゃん、なんで選挙行かないの!?」と詰め寄ったりはしないんだけどね。「どうなろうとしったこっちゃない」は嘘だと思うんだよ。自分は良くても、国が間違った方向に行って、親や子供や恋人が酷い目に会うのはイヤなんでしょ? 自分の両手が届く範囲でしか、俺らは自分の好きな人を守れないわけで。誰かに頼らざるを得ないわけだからさ。俺ら、ずっとこの国に住んでくんだし。

 
結局、「選挙に行かない」って公言してる人ってさ、ほかにもそういう人がたくさんいるからそれを笠に着てそう言ってるだけで、実際には「よくわかんないんだもん」なだけなんだと思うのね。少なくとも、自分からニュースや報道バラエティにチャンネルあわせたり新聞読んだりして、「この国が今どんなふうに動いているのか」ってことに意識的になってる人の中に、「選挙に行かない」って公言してる人はいないんだよ。総理大臣がびっくりするようなことをやってたら、「ああ次の選挙では別の党に入れよう」と思うわけで。「よくわかんないんだもん」って言うのがイヤで、馬鹿にされるのがイヤで、突っ込まれるより先に大きめの声で「選挙なんて行かない!」って言ってるだけ、って気がしちゃうんだよね。

いや、別にそれならそれでもいいんだけどさ。「この人、頭がよくて好きなのに、なんでこんなこと言うんだろ」ってつい、思っちゃってさ。余計なお世話だけどさ。

今度の選挙、だまされたと思って行ってみてくれないかな。どこに投票してもいいけど、「今の日本、最高!」って思えてないなら、今の与党と、前回の与党以外の党に投票してほしい。あるいは、例えば争点を原発に絞って、このポリタスってサイトの記事http://politas.jp/articles/218を読んで、原子力発電に関する考え方で自分に一番近い党に入れるんでもいい。とにかく投票に行ってほしいんだ。

なんでかっていうと……こんなブログ読んでるあなたは、たぶん30代〜40代だと思うんだけどもね。年寄り以外が選挙に行くだけでがらっと結果が変わるって言われてるんだよね。俺さ、ぶっちゃけ次の選挙って、若い人がこぞってでかけて与党以外に投票したら、自民党とわけのわからない政党との連立政権になるようなことがあると思うんだよね。今と全然違う状況になる。そうなったらしめたもんなんだよ。いろんなことの議論が深まって、数人の年寄りが密室でどんどん決めちゃってたようなことが、いろいろ説明を要求されるようになってくるんだよ。それっていいことだよね?

「次回の選挙は争点がないから自民党大勝で決定」ってよく聞く話なんだけど、俺はひっくり返るチャンスもあると思うんだよ。これを読んでるあなたは絶対にバカじゃない。バカはこんな長文読めないからね。バカじゃないなら、選挙に行こうよ。そんでその前後を見守ろうよ。「俺関係ねーし」とか言って済まされる年齢でもないしさ。子供に真正面から選挙に行かないのか尋ねられた時に、そわそわすんのもイヤじゃない?