プルタブ集めにひとり泣く

職場の組合がさ、空き缶のプルタブを集めてるわけ。ゴミ箱にコップくくりつけて「捨てる前にプルタブをねじ切ってこちらに」みたいなことが書いてあるのね。「プルタブを集めて車椅子を贈ろう!」とか書いてある。「プルタブのアルミニウムは印刷がなく純度が高く、リサイクルに最適なのです」のようなことも聞いた気がする。
しかも職場の女の子がね、ゴミ箱のコップにではなく自分の引き出しの中に集めてるわけよ。理由を尋ねたら「あのコップが回収されてなくなったら、私がためたプルタブ全部入れるの。回収してる人はゼロになったものが急にまた一杯になって、きっと驚いて喜ぶよ」ですって。そんなサプライズって! 彼女の善意はそんなサプライズまで期待しているのだ。
でもなんだかもやもやして検索してみたのね。そしたらやっぱりこんなエントリが見つかって。
http://lonely-planet.cocolog-nifty.com/sa/2005/08/post_bafb.html
書いてあることがいちいちもっともに思えてさ。間違ったって彼女にこのエントリを読ませることはできないって思ったよ。彼女が猛烈に落胆する姿が目に浮かぶ。そりゃないよなぁ。
上記のエントリで問題になっているのも結局は同じだと思うんだよね。現実を正面から見つめると、ちっとも社会の為になってなくて、「お手軽な善意を保護する」「せっかくの善意だし無駄にしたくない」って気持ちだけが目的になってる感じ。しかもそれを引き受けている業者はそこから利潤を生んでいるはずだもんね。そこは善意だけで運営するのは無理だと思うから。
お手軽な善意、自分の手を汚さないボランティア。やらないよりやった方がいい、慈善的行動で自分が明確に損をするってのはつまんないから、そこは保護されたらなとは思うんだけどさ。誰かが、職場の彼女みたいな人を落胆させずに、そぉっと本当に価値あるボランティアを、しかもあんまり頑張らなくて済む優しいボランティアを提案してあげられないかなぁ。全力でリサイクルしたりゴミ自体を減らしたり、自分の欲求を抑えて環境を考えたりすることが大事。わかってるよそんなこと。それはそれとして、他人にアピールできるキラキラしたバッジみたいな、自分の善意をほんの少し自慢しちゃえるような行動があって、それがホントに世の中のためになる……みたいなものないかな、って。甘い? 甘すぎるかしらそれ。
現実って冷たいしつまんないし歯が立たないよなぁ。ちなみに俺、上記のエントリ読んでからもずっと、プルタブちぎって入れてますよ。職場のゴミ箱のコップに。理由は……わかんない。自分でもよくわかんない。