白羽の矢

「白羽の矢」とは本来人身御供になる犠牲者を決める印という意味で、もともとは良い意味じゃなかったわけですよ。でも実際「特に選ばれる」という意味で広く使われるようになって、辞書にもそういう意味で載って、特に犠牲者という意味でなくても使われるようになってるじゃないですか。
選挙とかの時期になるとニュースでもバンバン「〜〜氏に白羽の矢が立った」みたいな表現がされるわけですけど。もともとは犠牲者って意味だけど、他に代わる言葉もないし伝わりやすいし、まあ慣用句としてとりあえず使ってるんだけど、ホントはちょっともやもやするなぁ、俺だってもともとは違う意味って知ってるんだけどなぁ、とか思いながら使ってるんだろうか。それとも「今はこれでOK!」って胸張って使ってるんだろうか。

<追記>
っていうのはですね、「確信犯」問題に対する「故意犯」みたいな、これを使えばエクセレントに解決できる言葉が見つからないわけですよ。それがあればこんな風にもやもやしないですむのに、っていう。
っていうか「特に選ばれる」って何なんですかね。「選ばれる」でなくて「特に選ばれる」。より理由が強い、他じゃダメってことなんですかね。
一般的に使われている「白羽の矢が立つ」状態って、特に選ばれたというよりは、意外にも選ばれたって感じありませんか? 100人の中で皆が納得の、突出した人が選ばれたというよりは、予想してなかったかもしれませんけどこの人が選ばれました、みたいな感じ。もしかしてこのニュアンスが犠牲者っぽくて、名残としていまだにある理由なのかな……。