がんばれ古閑美保

帰宅してテレビをつけたらグータンヌーボが始まったのでなんとなく観ることに。俺が観るといつも誰かが遅刻するというかバラバラに集合する感じなんだけどこれが基本なの? 遅刻して来た人はやりづらくないのかな?
プロゴルファーの古閑美保さんが今、ご自分の歴史の中でも最大級の恋愛をしているということでその話題を中心に番組は進んだわけだけども、聞けば聞くほど不安になって、誰か古閑さんを助けてやってくれ、と思ってしまった。っていうのも「相手のことが好きで好きで、相手が自分のことをどう思ってるかはむしろ関係ない」「いつ呼ばれてもいいように待機してる」「今日結婚しようって言われたらすぐ結婚する、何もかも放り出して飛び込んでく」みたいなことを言っていて……なんというか、甘酸っぱい初恋の匂いというか、言葉は悪いけど不吉な予感がしたから。
さらに話を聞けば「二人で会うことはほとんどない」「私の気持ちは絶対気づいてるけど向こうはちゃんと表明してくれない」「好きという言葉に『ありがとう』と言ってくれた時には涙が出た」「いつもはブタゴリラって呼ばれてる」「甘えるとキモいと言われる」みたいなことを言ってて、さすがに同席の共演者(片瀬那奈・優香)も気づき始めて「それは……付き合ってるの?」とか尋ねだす始末。古閑さんがあまりにも純粋で、けなげで、なんというかこう……恋愛に対する狡猾さみたいなものが微塵もなくて、にもかかわらず聞いてる俺の中にはその彼女の姿に胸を締め付けられて涙を流すようなピュアな気持ちは残っていなくて、ただひたすら居心地が悪かった。
まったくの想像だけど、彼女はたぶん、平均的な女性が女学生だった頃に通っていくような恋愛をちゃんと経験しておらず、きっとスポーツに打ち込んだ十代を過ごして、ゴルフで活躍してここ数年で所属する世界ががらっと変わって、ちょっと有名人の若い男の子(スポーツ選手か芸能人)とグループ交際をして、そして今まさに少女漫画のような一方的な恋をしている……んじゃないかと思うんだ。古閑さんが熱烈に想いを寄せる年下の男性は、たぶん古閑さんを気のおけない友人としか思っておらず、いつか「悪いけどそういうんじゃないから」と言い出すに決まっているのだ。古閑さんだってもちろんそういう状態──自分は恋愛関係だと思っているけどもしかしたら違うかもしれなくて、それをハッキリ相手に確認することすらできなくて、でも毎日がジェットコースターみたいに楽しい状態──があまりにも不確かで、それが不安で、でもそれを直視できなくて、若さとか勢いとか、お酒とか、そういうもので紛らわせているのだ。あまりにも若くて愚直な少女の恋、なのだ。
ああ、こんなにも無垢で無計画で無茶で無防備な彼女のこの恋が、たとえどんな結果になろうとも、それでも次の日の彼女が前向きに笑って歩き出せるような、そんな未来に繋がりますように。ああ、彼女が愛する年下の男性が、彼女が二度と男性に心を許せなくなってしまうような、彼女の心に深い傷を負わせる、そんな子供じみた男じゃありませんように。神よ願わくば、25歳の彼女が女学生の時代に忘れてきてしまった恋愛スキルを、取り戻す時間を与えてやってください。そして古閑美保さん、どうかお酒に逃げないで、自分の恋愛を真正面から受け止めてください。それが25歳の大人の責任なのです。25歳になったら自分のことをちゃんとして、自分より若い人たちに優しくしてあげるっていう義務があるのだから。
古閑美保さんがあまりにもピュア過ぎて、同席の片瀬那奈さん優香さんが、どうしてもスレた脇役にしか見えなかった。番組としては美味しかったのかもしれないけど、芸能の場として考えてみれば、なんというか、こう、なんとも居心地が悪い。番組後半で世界のナベアツが出てきてもちっとも笑えやしなかった。