秘密のケンミンSHOWはいい

日テレの「カミングアウトバラエティ 秘密のケンミンSHOW」が好きです。予約録画して毎週観てます。ダウンタウンDXの特番とかで休みだったりすると腹が立つぐらい。
この番組の最も素晴らしい点は、笑えるバラエティ番組であるにもかかわらず「誰も傷つけない」というところなんですね。
笑いというのは本来的に、対象(自他問わず)の程度の低さを笑ったり、真面目な部分を茶化したり、一般的でないことをあげつらったりすることから発生するじゃないですか。どんな笑いも、対象が自分の位置まで来ていないことを確認することでわきあがる余裕、見下しから起こっていることが多いと思うんです。この番組だって結局はその構造は変わらないんですけど、対象となった「一般的でない人たち」が胸を張っていて何一つ恥ずかしがらないんですよね。その笑いを突き詰めてもいじめに繋がらないんです。「そんなの普通じゃないよ」と一旦は一笑に付したご当地料理を全員で食べて、美味しい美味しいと皆で褒めて納得するんです。紹介した側もご満悦ですよね。初めは笑ってた皆も、実際にその事実に触れてみて、なるほどいろいろあるんだねぇ知らなかったよ、って良い気分のまま居られる。いいもんだね、食べてみたいね、行ってみたいね、って思ったまま終われる番組なんですよね。
もうひとつ素晴らしいのは、変に勝ち負けをつけないんですよね。バラエティ番組ってすぐゲームだのクイズだのやって勝敗をつけたがるじゃないですか。勝敗がつくと何か結論が出たみたいになって、番組全体が意味ある終わり方をしたような気がするんですよね。まあ観てる側の俺らの頭が極端に悪いために起こる錯覚なんですけど。でもケンミンSHOWはそういうことしないんですね。番組開始当初は「世界ケンミン遺産に残すべきかどうか投票する」みたいな企画やってたんですけど、終わっちゃいましたね。……あ、嘘だ。思い出した。ひとつあった。「隣県バトル」ってのがありましたね。勝敗がついた後「負けたのは県でなく、代表して戦った私です、ふるさとの皆さんごめんなさい」って謝るコーナー。あれはあれで面白いんだよな……。まあ勝敗付けも少しはありましたということで。
番組の何もかもが大好きってわけじゃなくて、つっこみたいところもいくつもあるんですけどね。大阪偏重の感じとか東北地方がほとんど出てこないことが多いとかゲストを使いこなせてないとか大物系ゲストの発言が明らかにまるまる台本のまんまとかみのもんた接待とか。でもそういうの踏まえても大好きな番組です。「このネタ面白い、職場にこの県出身の人いなかったっけ?」なんて思いを巡らせながら毎週楽しんでいます。秘密のケンミンSHOWは良いですよ。素直に和めるいい番組です。