実験4号が思い返すMOK Radio(4)

このあたりでまた一つの転機が来るんです。Live365アメリカだけでなく日本でも正式にサービスを開始するらしい、ということになって。もともとアメリカ国内向けのサービスを日本で使ってたわけで、その点に関する不安ってのはあったんですけど。日本向けのサービスが始まっちゃうと今までアメリカのサイトに接続してたものが勝手に日本のサイトにリダイレクトされちゃう。しかもリスナーまで有料になっちゃうということで、Live365を使うのはやめて、Shoutcastを使っての配信に切り替えることに決めるわけです。
有料と言って思い出しました。結構お金かかってたんですよ、MOK RadioLive365はブロードバンド用とナローバンド用の2チャンネル用意してまして、1チャンネル使うのに年間5万円とか払ってたんです。そう、2チャンネル用意してたんだ! そうだった。1チャンネル最大200リスナーまで、というコースを利用してたんですね。リスナー数が増えて200人なんてすぐ一杯だってことで、もう1チャンネル追加したんだった。そうだったなぁ。「せっかく登録したのに音が途切れまくる」なんて声も多かったので、一方は音質を下げてナローバンド用に設定してました。
JASRAC登録に1万円。それ以外にミキサーやらマイクやらスタンドやら使ってましたし、配信用PCと音楽用PCはそれぞれ別に用意してましたから。まあ、機材関連が充実していた理由の筆頭は「津田さんがひたすら買い物好きだから」なんですけどね(笑)。
あとLive365に関して書き忘れてたんですが、自動配信のシステムがあったんで、MOK Radioとは別の番組を帯で、録音で流してたんですね。「プラシーボ百貨店」ってキキさんと和尚さんという劇的にトークの上手な女の子の番組だったわけですが、あれは相当クオリティ高かったですね。スピード感あるし笑えるし、普通に娯楽番組として楽しみにしてました。むしろ俺がネットラジオのリスナーとして最も熱心な時代だったんじゃないかな……。Live365との別れがそういう番組との別れでもあったわけです。
Live365を使わなくなったおかげで洋楽が流せない時期がしばらくあったんですよね。その後Sound Exchangeという著作権著作隣接権の処理団体にお金を払って(6万円くらい?)、洋楽が再度流せるようになるわけです。Shoutcastのシステムを使うおかげで、会員登録のような面倒な手続きをすることなく、ワンクリックで誰でも洋楽・邦楽が流れるネットラジオになったんですね。システムとしてはあの時にほぼ完成してたんだなぁ。やっぱり「ワンクリックで誰でも聞けるラジオ」に到達した時は素直に嬉しかったです。
ただ、この頃からパーソナリティの遅刻や欠席が増えていくんですよね。情熱が失われてってるわけじゃなくて、むしろ面白がってる最中なんだけど、どうにも皆さん仕事が忙しくなっていって(おかげで「いつもは実験がやってるコーナーをタクヤがやる」みたいな突発的な楽しみはあったんですけど)。ぼんやりサラリーマンなのは俺一人なもんで、俺は体調不良以外の理由で不在ということはなかったんですけど。パーソナリティの誰が居なくても寂しかったし、盛り上がりに欠ける感覚がありました。あの頃の俺らはまさに、音楽性をともにしたロックンロールバンドみたいに、1回1回の放送に熱くなって、貴重な時間を過ごしていたんだと思います。2004年の夏から年末の頃のことです。