意外な時にわかる真の評価

緒川たまきさんとケラさんが結婚したとわかった瞬間、俺の周囲はその話題で埋め尽くされた。あまりにも皆驚いていてその理由がよくわからない。けど「自分が今まで、緒川たまきさんをいかにひたむきに愛してきたか」を表現している人が多かったので、ケラさんとの結婚は意外だし、残念に感じているという意味のように感じられた。言葉は悪いけれども「ケラのような○○な人と結婚するなんて!」という言外の意志が伝わってきたのだ(○○の中身はご想像にお任せします)。……俺の邪推かもしれないけども。少なくとも「ケラのような才能のかたまりのような人にたまちゃんが惹かれるのは良くわかる!」というニュアンスの発言は見当たらなかった。ちなみに俺は緒川たまきさんは大好きだけども、ケラさんを「演劇の世界で評価されている凄い人」と認識しているので、ニュースを聴いた瞬間「トップクラスの美女と才人のドリームウェディング」ぐらいに感じました(本当)。少なくとも「ケラなんかと」とは思わなかったし、ましてや「緒川たまきさんはこの先もずっと(俺の為に)独身で居てくれれば良かったのに!」なんて微塵も思わなかった。
俺の周囲の話題があんなふうになったのは、いつもはケラさんの悪口を言わない人も、こんな時にちょっと「その人の真の評価」をにじませてしまう、ってことなのかな。「自分の好きな人には、せめて自分のお眼鏡にかなう異性とコンビになってもらいたい」という意識があって、お眼鏡にかなわないと判断した途端、ついつい出てしまう言葉がある、ってことかもしれない。
最近、同じようなことがあったのを思い出す。ちょっと前に解散した人気バンドのトリビュートアルバムの発売が発表された時に「この曲(この、私を含めた多くのファンにとって大事な曲)を、あのミュージシャンが演るのには抵抗がある!」という意味の発言を見かけた時。いつもはそのミュージシャンの評価を明示してこなかった人でも、自分の大事にしていた曲のトリビュート担当になった途端に「なんでお前が(恐れ多くもこの曲の担当を!)」ということを匂わせてしまいがち……なのかも。今まで好きでも嫌いでもないと思われていた持田香織さんが、ユニコーンの「すばらしい日々」を特番で歌った途端に「何でお前が」と言われる対象になってしまう、みたいなね。
別に誰が誰を好きだろうが嫌いだろうが、誰へ対する評価が高かろうが低かろうが、まったく自由だし誰にでもあるし制限されるようなことは何一つないんだけど、結婚の発表とかトリビュートアルバムの選曲とか、そういうタイミングでポロっと真の評価が露呈しちゃうみたいなのが、ちょっと面白いなぁと思っただけの話であります。